2003 年 26 巻 5 号 p. 299-303
症例は生後2カ月の男児.その妖精様特異顔貌およびFISH法による7q11.23領域の半接合欠失の証明よりWilliams症候群と診断した.児は生後7カ月BCG接種後,腋下リンパ節腫脹が持続したため施行した免疫機能検査で顆粒球活性酸素産生能の欠損を認め,蛋白およびDNA解析よりp47-phox欠損型慢性肉芽腫症と診断した.p47-phox欠損型慢性肉芽腫症は常染色体劣性慢性肉芽腫症の29%を占め, GT欠失を特徴とする突然変異遺伝子NCF1はWilliams症候群と同じ7q11.23上に位置する.児のCGDの発症は, Williams症候群の原因となった7q11.23領域の欠失のため,非欠失染色体の同領域に存在したp47-phox劣性遺伝子NCF1変異がヘテロ接合となったためと考えられる. Williams症候群を含め,染色体の欠失を伴う疾患の場合,同領域に存在する劣性遺伝子病の発症に注意することが必要である.