日本臨床免疫学会会誌
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総説
自己免疫性甲状腺疾患ゲノム解析の現状と転写関連分子ZFAT
中林 一彦白澤 専二
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2010 年 33 巻 2 号 p. 66-72

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抄録

  自己免疫性甲状腺疾患(AITD)は甲状腺機能亢進症であるバセドウ病と機能低下症である橋本病に代表される,最も頻度の高い自己免疫疾患の一つである.AITDは複数の遺伝要因と環境要因が相互作用し発症に至る多因子疾患であると考えられる.これまでに同定されたAITD関連遺伝子群は,①ヒト主要組織適合遺伝子複合体(MHC)領域のHLA遺伝子,②MHC領域外の免疫関連遺伝子,③甲状腺特異的遺伝子,の三群に大別できる.ゲノム関連研究により主要なAITD関連遺伝子群を網羅的に同定することは,AITD発症機構の解明のための極めて有用な基盤情報となる.近年,複数の自己免疫疾患についてゲノムワイド関連研究が実施され,多数の疾患関連遺伝子多型が新規に同定されている.本稿では,バセドウ病を対象としたゲノムワイド解析の現状,ならびに筆者らが日本人AITD症例群を対象とした連鎖・関連解析により同定したAITD関連遺伝子ZFATの分子機能について概説する.

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© 2010 日本臨床免疫学会
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