日本臨床免疫学会会誌
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シェーグレン症候群に多発性筋炎,サルコイドーシスを合併し,興味あるHLAを示した1例
小荒田 秀一内田 賢多田 芳史牛山 理鈴木 憲明大田 明英長澤 浩平
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2000 年 23 巻 2 号 p. 141-147

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抄録

症例は67歳女性. 1989年,関節痛・乾燥症状出現. 98年1月より上下肢近位筋を中心とした筋力低下が出現し,筋原性酵素の上昇を認め当科入院.筋生検・筋電図より多発性筋炎(PM)と診断した.また,ローズベンガル試験陽性,シルマー試験陽性,小唾液腺生検所見よりシェーグ1/ン症候群(SjS)と診断した.精査中, Gaシンチにて縦隔リンパ節の集積像と胸部CTにて縦隔リンパ節腫脹を認め,縦隔鏡下リンパ節生検で,サルコイドーシスの診断をえた.プレドニゾロン40mg/日の投与を開始し,筋力低下・リンパ節腫脹は軽快した.本症例は, SjSにPM・サルコイドーシスの合併を認めた稀な症例である.これらの疾患の合併例は内外文献で日本人の1例があるだけである.本症例におけるHLAは, HLA-B7, DR8が陽性であり,これは日本人における本3疾患に対する共通の疾患感受性HLAの結果とよく合致した.これらの疾患の合併は,いずれも免疫異常を背景にもつ疾患であり,共通した発症因子の存在する可能性を示唆し,各疾患の病因を考える上でも貴重な症例であると考えられた.

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