日本内科学会雑誌
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Growth hormone, prolactin産生下垂体腺腫,巨大な副甲状腺嚢胞, Zollinger-Ellison症候群を合併した多発性内分泌腺腫症I型の1例
木下 芳一野中 洋山口 裕国市川 幹郎鈴木 俊渡辺 潤近藤 俊文千葉 勉千原 和夫深瀬 正晃藤田 拓男
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1986 年 75 巻 4 号 p. 512-521

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抄録

Growth hormone(GH), prolactin産生下垂体腺腫,巨大副甲状腺嚢胞を伴つた原発性副甲状腺機能亢進症,無数のラ島microadenomaによるZollinger-Ellison症候群を合併した多発性内分泌腺腫症(MEN)I型の1例で,副甲状腺嚢胞内でのPTHの存在様式, MENに伴つたZollinger-Ellison症候群の治療法について検討した.症例. 45才,女性.上腹部痛のために来院. MEN I型と診断された.右上副甲状腺腫は巨大嚢胞を形成し,内容液は大量のPTHを含み,その一部はfull chainのPTH (1-84)であつた.膵には1個の肉眼的腫瘍の他に,無数のmicroadenomaを認め,本例のようにMEN I型に合併するZollinger-Ellison症候群では,膵腫瘍が多発することが多いため胃全摘を第一選択とすべきであると考えられた.

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