日本薬理学雑誌
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止瀉剤Loperamideの薬理学的研究(第2報)摘出および生体位モルモット腸管の蠕動に対する効果
荘司 行伸河島 勝良清水 当尚
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1978 年 74 巻 1 号 p. 155-163

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抄録

モルモットの摘出回腸ならびに生体位小腸および結腸の蠕動におよぼす止瀉剤loperamideの影響をatropineおよびmorphineの作用と比較検討し瀉以下の結果を得た.(1)摘出モルモット回腸のTrendclenburg法による蠕動はloperamide 10-8~2 × 10-8g/mlの適用によって抑制された.(2)腸内容量を多くした場合に生じるモルモット生体位小腸の嬬動はloperamide 0.03mg/kg i.v.以上の投与により抑制された.同様な効果はmorphineo 0.03mg/kg i.v.あるいはatropine O.05mg/kg i.v.以上の投与でもみられたが,morphineの作用持続時間はloperamidcよりも短かかった.(3)腸内容量を多くした場合に生じるモルモット生体位結腸の蠕動はloperamide 0.01mg/kg i.v.以上の投与により抑制された.同様な効果はmorphine 0.1mg/kg i.v.あるいはatropine 0.03mg/kg i.v.以上の投与でみられた.(4)Loperamide 0.01~0.03mg/kg i.v.あるいはmorphine 0.1mg/kg i.v.の投与後に,結腸蠕動の記録基線に軽度な上昇がみられた.以上の結果にもとついて,腸壁伸展により生じる蠕動を抑制するloperamideの効果とその止瀉作用との関連性を考察した.

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