2005 年 25 巻 1 号 p. 41-44
1984年4月から2004年3月に当科において食道静脈瘤を疑い胃食道内視鏡検査を施行した症例のうち, 実際に内視鏡治療を実施した症例を対象に検討を加えた。疾患名と治療回数は, 胆道閉鎖症10例, 22回, 肝前性門脈圧亢進症3例, 17回, Allagille症候群1例, 2回, Wilson病1例, 1回の計15例, 42回であった。その内訳は硬化療法のみ21回, 結紮術のみ15回, 両方同時に行ったもの6回であった。緊急内視鏡検査を行ったのは胆道閉鎖症で2例2回, 肝前性門脈圧亢進症で3例6回であった。胆道閉鎖症に比較して肝前性門脈圧亢進症の症例は一人あたりの回数が多く, また緊急内視鏡的治療を余儀なくされる症例が多い傾向が見られた。キャリーオーバー症例の増加により成人内視鏡医との緊密な連携が必要になってくるものと思われる。